今年は柿が豊作だったのだろうか?あちこちの家のベランダの軒先に柿を吊るしてある光景が目についた。それを納得させるかのように、あちこちから
干し柿をいただいた。しっかり干して固くなったものやオレンジ色で中が半熟状のものなど、さまざまで、もちろん味も微妙に違ってくる。固いのは、大根なますに入れると自然の甘みが加わり、深い味わいになるしパウンドケーキに入れ込んでも美味しくなる。干している途中で何度もやさしくもんでやると至極柔らかくて格段の干し柿になって市場価値もアップする。ラッピングも人さまざまで送り手のセンスと生活感覚が感じ取れてしまう。一つひとつ、セロヒァンの袋に入れて口をアルミのひもで結んで高級感あふれるもの、菓子箱に懐紙を敷いて、きれいに並べて入れてあるもの、ただポリの袋に入れてあるもの、などさまざまである。でもどれもこれも作った人の温かみと、それに費やした時間の多さを感じるから、しっとりとした自然の甘さが心にしみこんでくる。干し芋やたくあん漬けもそうだけれど、だんだん慌しさを増す暮れのこの時期に時間と愛情をドーンと浴びせられる最高の贈り物だ。
とかくクリスマス前後のこの時期は、なんだかんだと洋風の食卓やメニューが氾濫しがちだけれど、ひっそりと控えめで目立たない干し柿の存在は私にとっては手ごたえのある大物役者なのです。
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